2010年5月21日

メンタルヘルスとは何か
健康に関する概念はアメリカを中心に「Bio-psycho-social身体、心理、社会的モデル」に基づくアプローチが中心に研究されてきている。世界保健機構(WHO)憲章によると「健康とは単に病気がないというだけでなく、肉体的にも、精神的にも、また社会的にもwell-beingな状態」と定義されている。 WHOによれば「心の健康」とは、特に精神的にwell-beingの状態と考えられる。 また、1930年に開かれた第1回世界精神衛生連合における合意では、心の健康を次のように定義している。
①身体、知性、情緒などがよく調和されていること
②環境に対して適応し,社会的に他の人びととよく折り合っていること
③自分は幸福であるという感じをもてること
④仕事や職業に対して、自己の能力がよく発揮され、能率的な生活ができること
この4つの条件は、個人としてまた集団の一員として望ましい人間像を示すものであり、職場 のメンタルヘルスを考える場合、大変参考になるものである。
「心の健康」については、多くの精神医学、心理学者の間で論じられてきたが、未だ一致したものにはなってはいない。しかし、職場における望ましい心の健康像をあげると、次のとおりである。
①自分も,周囲からみても、仕事ができると評価される
②自分の考え方や行動に周囲を無理にまきこまない、迷惑をかけない
③周囲の人や物事に対し、適度の関心をもっている
④建設的に仕事を進められる
⑤お互いに人格を認めあえる
⑥他人の幸福を喜び、不幸を悲しむことができる
⑦人生を楽しむゆとりをもっている
「心の健康」を正確に定義することは、大変難しいことであるが、前述の①~⑦の諸点は職場における「心の健康」として的確な指標と考えられている。

以上のように身体、心理、行動が健康であることが重要です。メンタルヘルスはwell-beingな状態を維持向上することを目的としています。
メンタルヘルスは地域、家庭、職場と全般にわたりますが、特に最近の産業を取り巻く心理、社会的環境の変化は働く人々のストレスを高め、疲労やストレスを主な要因とする増加が指摘されており、厚生労働省は2008年に「メンタルヘルスケア指針」を策定し、職場のメンタルヘルスを推進しています。
基本的にはT.Mリングが、その著書「職場の精神  と人間関係」で述べているように、「最小のストレスで最大の共同の成果を向上させる」こと、つまり、働きがい、生きがいのある健康的な組織をつくることがメンタルヘルスの重要な目的です。
②:メンタルヘルスの歴史
メンタルヘルスの歴史
メンタルヘルス(精神保健)は戦前は精神衛生と呼ばれていた。メンタルヘルスには歴史的には2つの運動と関わっている。ひとつはピネル(Pinel,1973)による「精神障害者解放運動」で、人権が守られ、法制化。科学としての精神医学へと発展した。ふたつはビアーズ(Beers,1876~1943)が、自己のうつ病入院体験を基に一般人の心の健康増進運動をはじめ、それが今日のカウンセリングや適応障害の考え方に繋がった。
わが国のメンタルヘルスの歴史は1969年代までは、いわゆる精神病圏内の統合失調症等への精神医学的、社会福祉的対応が中心であった。産業においても疾病に対する治療、管理、職場復帰援助が健康管理の主な仕事であったが、一部では非精神病圏のメンタル不全である人事的問題の産業の3Aといわれるアルコール問題や、欠勤、労働災害等々は、その問題や行動の背景にストレスや個人的な心の病といった健康管理上の問題が関与している可能性も提起され、精神衛生に関心を示す企業が出てきた。1968年に発足し、いわゆる「精神衛生学的アプローチにより従業員の能力向上を図り、人間関係のマイナス要因を除いて良好な関係を促進し、企業の生産性を向上させ、従業員の職場定着を図ること」を目的として設置されたものである。当時、メンタルヘルスの取り組みをしていた日本電信電話公社(現NTT)や日本国有鉄道(現JR)等々が健康管理型精神衛生であったのに比較し、より健常者の心の健康増進に力点がおかれた職場適応促進型という他企業には見られない先駆的なものであった。
当時は、まだ社会的には精神保健(mental health)と呼ばず精神衛生(mental hygiene)と呼ばれていた時代である。現在でこそ前述した考えは受け入れられる余地があるが1968年当時はメンタルヘルスを実施する企業が少ない時に、健康管理から分離して、このような産業心理学的メンタルヘルスアプローチを取り入れたことは経営者の先進的思想に基づいていたといわざるを得ない。当時の背景として、金の卵といわれた中卒労働者は産業界にとって貴重な働き手であり大事にされ、技能教育を社内で行い一人前に教育することが行われていた。しかし、育成した人材も2ないし3年で、さまざまな原因による不適応によって退社をする者が増加していた。当時の経営者はそのような原因のひとつとして「心の問題」「ストレスの問題」があると考え、働きやすい職場作り、生きがいを持てる職場作りが若年労働者の定着率の向上につながると考えた。つまり職場不適応のソリューションのひとつとしての、いわゆる労務政策としてのメンタルヘルス導入であった。いわゆる疾患モデルによる健康管理ではなく、.Lingによる「最小のストレスで、最大の共同の成果をあげること」5)を目的に設定された。スタッフは医師とカウンセラー(臨床心理士等)であった。
1970年代以降はA社B事業所の超近代的工場への大規模移動にも象徴されるように、デジタル化により労働が肉体から精神労働にうつり、その変化に対応できない職場不適応がしだいに顕在化し、ストレスが増加した。わが国の産業界は、大幅な技術革新のうねりの中で、デジタル化がすすみ、製造業、金融業、サービス業等々その波は産業界全般に波及し生産性を向上させた。その一方で、合理化という名のもとに職場の人員削減等が多くなり、労働者の「仕事の質と量」に変化が見られた。国の健康管理上の施策も変化し1979年、中高年の健康づくりのための「シルバーヘルスプラン」策定。1986年には「企業におけるストレス対策のための指針」労働省、中央労働災害防止協会。1988年、「心と身体の健康管理指針」によるTHPの展開。1992年、労働安全衛生法改正「快適職場形成」指針が出された。同年、精神衛生法が精神保健法に改正された。いわゆる精神病に対する取り組みから産業界における技術革新等による作業方法や作業環境の変化によりストレッサーが増加し誰でもストレスによる疾患のリスクの増加傾向が見られるようになってきたので健康社員のメンタルヘルスの必要性が叫ばれるようになってきた。企業の状態は日本経済の動向や企業内部の経営施策によって大きく影響する。そこで下記にA社の内的変遷は明朝体、取り巻く外的変遷は明朝体太字で、メンタルヘルス関連は斜め字として表記した。

1973年 オイルショック
1980年 構造不況(低迷期)
1985年 労働省行政指導でメンタルヘルスの公用語使用
1978年 精神保健法へ改正
1988年 労働安全衛生法改正、THP展開
1990年 バブル景気
1992年 バブル崩壊
1992年 労働安全衛生法改正「快適職場形成指針」
2000年 厚生労働省メンタルヘルスケア指針(「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」平成12年8月9日付基第522号)施行。
③:メンタルヘルスの現状

厚生労働省メンタルヘルスケア指針(「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」平成12年8月9日付基第522号)1)が施行されて以降、多くの企業でさまざまなメンタルへルスアプローチが行われている。
背景には、カナダストレス研究所Earleが提唱するハイパーチェンジエイジ2)を具現化するように、わが国でも、北アメリカと同様に企業買収や合併が日常化し、その変化のスピードを増している。一方、グローバル化された企業社会はさらに競争が過熱し、ストレスは増加している。厚生労働省の「労働者の健康状況調査」3)によれば「職場で強い不安や心配・ストレスを感じる」と回答した人々の割合は1982年50.1%対し2002年には61.8%と推移している。また、多くの企業の人事部やメンタルヘルス専門家の努力にもかかわらず精神障害による労災件数や労災認定に関する訴訟事件も増加傾向にあり、さらに警視庁の統計(2004年) 4)では自殺者数も高い状態で推移し深刻な状態が続いている。わが国の産業におけるメンタルヘルスの現状は、2008年の厚生労働省のメンタルヘルスケアし指針に基づき各企業においてとりくまれている。
その取組状況は図(  )のとおり、大企業ではほぼ90%以上が取り組んでおり、小規模になるに従い減少している。しかし、規模が大きくなるとその取り組みは、表面的となり、決め細やかな対策はできなくなる。また、小規模事業所では決め細やかな対応と取れるものの。問題点としては専門スタッフや施設などの面では、どうしても対応が十分とれないという問題点が生じる。
働く人の健康づくり協会調査では、社員全体のストレスマネジメントや心の健康づくり対策の取り組みの必要性を感じながらも、緊急性がある職場で発生するうつ病などのケース対応が優先されているという結果を報告している。また、各社に
ケアを必要とする社員の割合に対する調査は、非本社会経済性本部、産業医等々から報告されている、産業では精神病圏内ではなく神経症圏内のケースが圧倒的多いと報告されている。
また、各社どのような取り組みをしているのが現状であろうか。まずメンタルヘルスのアプローチを考えてみると、職域で想定される内容(Leavelの5段階)としては社員が参加できる健康づくり。カプランの予防精神医学 第1次予防(病気を防ぐ)第2次予防(早期発見、治療)第3次予防社会復帰③疾病に対するアプローチ健康管理体制の充実 専門医療③ストレスに対するアプローチ教育訓練体制の充実第1次健康行動パターン、パーソナリテー、タイプA行動パターン、第2次健康教育、ストレスコーピング、ソーシャルサポート第3次カウンセリング、心理療法 ストレスマネジメント④特徴 予防はできるか 偏見と人権 自傷他害と職場対応⑤職場のメンタルヘルスの特徴1)健康と適応促進2)早期発見と働く人の共通の悩みに対するソーシャルサポートの確立3)価値の強制ではなく人間的成長と自己実現のサポート4)産業組織的アプローチ5)組織ストレッサー(仕事の役割、荷重、曖昧性)と個人の関係の考察6)快適職場とQOL.
6メンタルヘルス領域の学問と技術 医学、精神医学、心身医学、リハビリテーション、臨床心理学、社会学、未来学 ;カウンセリング、精神分析、交流分析、箱庭療法、認知療法、ゲシュタルト療法、自律訓練法、リスナー傾聴訓練法、森田療法、内観法、音楽療法、心理検査法
7組織と人3つのメンタルヘルス
①人事労務管理型1)企画、組織、予算、推進、啓蒙、管理職研修
②管理者型1)調査(東海大学、東京メンタルヘルス研究会)2)10の役割図43)カウンセリングマインドと知識4)相談を受けたときの注意と技法5)部下の性格に合わせた指導5)職場不適応の徴候と対応7)基礎知識と技法
③医療スタッフ型1)相談診療活動
8相談室カウンセリングルームの実態1)首都圏メンタルヘルス相談室の実状2)来談経路80%上司3)早期発見と予防4)業務効率と適応向上5)再発防止と復帰援助6)EAP秘密保持、外部機関の活用、無料(3親等以内家族含む、希望により有料)
9法律問題 人権、受診、入院、休職、復帰、就業禁止、解雇、労災業務上災害等
11これからのメンタルヘルス対策   職場で困っている問題、必要としている対策(働く人の健康作り協会調査)図5
12メンタルヘルスの効果測定 図5
企業におけるメンタルヘルスケアの重要性
従業員のメンタルヘルスを推進していくためには、従業員の取り組みに加えて、企業の行うメンタルヘルスケアの積極的推進が重要であり、職場における組織的かつ計画的な対策は、心の健康の保持促進を進める上で重要な活動と考えます。
企業がメンタルヘルスを実施する3つの理由
1.従業員の健康保持促進(職場ストレス増加に伴い)
前述の厚生労働省の調査にも顕著にあらわれているようストレスを抱えながら働いている従業員が増加しています。ストレス要因は仕事、職業、生活、家庭、地域等に存在しています。心の健康づくりは従業員自身がストレスに気付き、これに対処すること(セルフケア)の必要性認識することが重要です。
しかし、従業員の働く職場には従業員自身の力だけでは取り除くことができないストレス要因が存在しています。経営環境の厳しさ、競争の激化、デジタル化推進による新しい知識・技術の習得が不可欠になるなど、今後も従業員一人一人が新しい変化に対応し、変革に邁進していかねばなりません。
その際に従来に感じ得なかったストレスを感じることがあるやもしれません。
メンタルヘルス不全については、進行した場合、休業日数が長いのが特徴であり、そのために早期のケアが必要です。
従業員の健康保持促進を図る上で、心の健康づくりにおけるメンタルヘルスへの取り組みは大きく重要になってきます。

2.危機管理としてのメンタルヘルス対策
最近は、精神障害や過労自殺に関して、企業が従業員に対する健康管理上の安全配慮義務を怠ったために発生したとして訴えられる労災民事事件で企業に賠償を求める判決が増えてきています。平成10年度の精神障害の労災認定件数は4件でしたが、平成11年度  14件、平成12年度36件、平成13年度70件と急増しています。
また、厚生労働省は平成13年には、過労死につき、長時間の蓄積疲労の影響を認め、その評価期間を概ね6ヶ月とし、疲労に蓄積要因となる残業時間の目安として、「発症1ヶ月前に100時間以上、あるいは月平均80時間以上」を示した「脳血管疾患及び虚血性心疾患等に認定基準について」を示した。
更に、日常的な健康管理に関しては、平成14年に「過重労働による健康障害防止のための総合通達」を出し、前述の過労死新認定基準を踏まえ、長時間労働の実態にある企業に対する監督指導などによって健康障害防止を図っていくとともに過労死等を発生させた事業員の健康(心の健康)に対する企業の責任が厳しく問われるようになってきており、企業は授業員にとて過度な負担とならぬように、十分に配慮しなければならず、適切なメンタルヘルスサービスを提供することを求められています。
3.健康な組織つくりのために

今後、厳しい競合に打ち勝っていくためのの大きな変革を実現していくためには、一人一人の従業員のモラールを高め、一つ一つの組織が生産性や業績を高めていかねばなりません。
そのためには、授業員が心身ともに健康であり、仕事に意欲的に取り組むことができるような組織であれば、授業員の能力を十分に発揮することができ、生産性や創造性が高まり、良い業績が期待できます。
組織の健康なくして、個人の健康も成立せず、また、個人の健康なくして、組織の健康も成立しません。
従業員の健康と組織の業績は相反するものではなく、相互作用を通じてお互いに強化されていくものです。
メンタルヘルス対策においても、個人の健康対策のみならず、職場全体の健康度の向上が求められ、困難な状況でも明るく、前向きな職場風土をどう計画的に作り出すかが重要です。

メンタルヘルスケア推進にあたっての留意事項
メンタルヘルスケアへ取り組んでいくにあたって、基本的に下記の留意事項について事前に学んでおきたい。
○心の健康の客観的な測定方法が確立してない
○ストレスへの反応仕方や程度は大きな個人差がある
○ストレスは認知(無意識的意識的受け止め方)により変わる。しかし本人が理解しているとは忙しい。
○心の健康問題は周囲の人に理解されにくい
○心の健康を理解し、対処できる専門家が多くない
○心の健康問題がその人の人格を否定する形で評価される傾向が強い
○ストレス要因とストレス反応関係を理解する鍵は、どのような原因でどんな反応が起きているかを知ることである。労働者のメンタルヘルス対策に関する検討会報告書(平成12年)
心の健康については、客観的な測定方法が十分確立しておらず、その評価は容易でなく、更に、心の健康問題の発生過程には個人差が大きく、そのプロセスの把握が難しい。
心の健康不全については、誰で陥る可能性のある状態であるのに、個人への偏見や不等に低い評価に結びつく恐れがあります。
早期対応すれば、十分な休養と薬による治療によって大部分が治るにもかかわらず、その偏見があることによって解決が難しくなっているのも事実です。
メンタルヘルスケアがうまく成功する必要な条件の一つは、あらかじめ教育研修にてこのような偏見を職場から払拭しておくことです。

②個人のプライバシーへの配慮
メンタルヘルスケアを進めるにあたっては、労働者のプライバシーの保護及び労働者の意思尊重に留意することが重要です。心の健康に関する情報の収集及び利用にあたっての、個人のプライバシー等への配慮は、労働者が安心して心の健康づくり対策に参加できること、ひいては、職場の心の健康づくり対策がより効果的に推進されるための条件です。
③人事労務管理との関係
労働者の心の健康は、体の健康と比較し、

メンタルヘルスの基本的考え方(基本的採用モデル)
企業が基本的にどのような考え方に基づいてメンタルヘルスを採用するのか?
アプローチ1:メンタルヘルスのモデルには、従来型の精神医学、精神保健を中心にした医学、疾病モデルによるアプローチであり、現行の企業の健康管理型である。
アプローチ2:メンタルヘルスのモデルは、心理社会ストレスモデルである成長適応モデルがある。これは新しい型のアプローチであり、今後多くの企業のメンタルヘルスモデルとなる。従来型の精神医学、精神保健を中心にした企業の健康管理型に対して、人事・労働組合型モデルであるといえる。
メンタルヘルスの原論である、イギリスのT.M.リングによれば「産業メンタルヘルスの目的は、個人のストレスを最小にし、共同の成果を最大にすることである」としている。もともと医学モデルではないのである。
さらに、現在の我国おけるメンタルヘルスの実態からしても、健康管理型メンタルヘルスによるアプローチのみでは、メンタルヘルス不全者による休職日数の減少やメンタルヘルスケア社員の減少といった効果が見られないことに企業が気づき始めてきたことが推察される。大きく成長適応モデルにシフトしてきている。
企業が、しっかりとしたモデルに基づきメンタルへルスアプローチをしているかどうかがポイントとなる。
1. メンタルヘルスの目的を設定しているか
企業でメンタルヘルスを行う場合の目的は明確になっているか。イギリスのT.M.リングに定義までいかなくても、1)従業員の疾病対策か、2)健康で働き甲斐のある職場か、3)健康的な職場作りか、4)個人の健康と健康的な職場づくりか等々を考察し、明確な目標それにあった組織やフタッフを設定するという具体的な推進組織が必要となる。
2. 会社のメンタルヘルスの実態把握をしているだろうか?
個人と組織でも、何らかのアプローチをする場合は、まず調査による実態把握が先行する。それがなければどのようなサポートが必要になるのか、どの職場サポートを求めているのかが不明確となる。ややもすると心理系や精神分野は、対象が透明なことやデータがないことから、恣意的考え方や主観的アプローチが行われており、客観的で検証可能な方法によるアプローチが必要がある。そのためには有効なメンタルヘルスアセスメントが必要となる。
1) 組織的なメンタルヘルス・ストレス調査。JMIは疾病モデルに基づいており、基本モデルは疾患モデルである。現行では成長促進モデルによる調査が望ましい。
2) 原因は異なれどメンタル不全は、バーンアウトや抑うつ状態となって表れる。よって、メンタルヘルスサポートを必要とする社員がどこの職場にどのくらいいるかが把握されなければならない。また、そのデータが産業平均値と比較し有意に多いかどうかが検証されなければならない。
3) メンタルヘルス活動が、どのくらいの効果をあげているかが検証されなければならない(アクションリサーチ)。
4) 現行のメンタルヘルスケアサポート必要社員数が、産業のその平均値と比較し有意に多いか少ないかが検証されなければならない。
5) 社員1人当たりの休職日数と産業平均値を比較し、職場のメンタルヘルス度を検証し、参考にすることが望ましい。
6) 職務指標を複数設定し、これらの因子を独立変数とし、従属変数である、メンタルへルス因子に、どのような影響因子が働いているかを検証し、科学的にメンタルへルス対策をすることが望ましい。また、組織的影響係数と個人的生活場面における因子の影響因子の寄与率を算出し、考察することが望ましい。
7) 個々のアプローチの効果測定をし、現実的な効果を把握しながら進めていくことが望ましい。多くの企業の場合、有名教授や精神科医師を講師に招いて、メンタルヘルス研修会を開催したことがメンタルヘルス対策として報じられているが、ただ実施したということだけで、その研修が効果的か、そのことがどのようにメンタルへルス対策になっているかが検証されることが望ましい。そして費用対効果をあげられる方法を使用する必要がある。
8) メンタルヘルスケース対応においても、実証的メンタルヘルスが必要となる。
この場合も、成長モデルによるアセスメントが必要になる。この場合、精神疾患は治療の対象となるので、健康管理の領域に入る。この点を混同してきた歴
史がある。職場適応評価は疾患モデルではなく、適応モデルである。つまり障害をもちながらも立派に適応は可能である。糖尿病や心臓病でも、立派に適応しているのと同様に、統合失調症でもうつ病でも服薬によるコンプライアンスで、立派に適応しているケースは数知れない。また、治療においても実証的検証が必要となる。ケース種別の治癒期間の平均日数と比較考察し、適切なサポートが行われているか検定しつつ対応することが望ましい。これは復職サポートにおいても同様である。
ストレス予防のための有効なコーピングが提供されなければならない。

● 現在、このような状況で、各企業は早期に問題を発見し、対応することが重要なことに気付いており様々な取り組みを行っております。
残業調査・早期発見・ストレス診断導入企業増加する(日経 H15年8月5日付より引用)
〇日本ヒューレット・パッカードは、残業が3ヶ月で200時間を超え、さらにその3ヵ月後も改善しない場合に、産業医が上層部に休養させたり、業務を減らすように勧告するシステムをとっている。
〇リクルート社は、平成14年10月より、産業医やカウンセラーのアドバイスで管理職専門の相談窓口を設け、うつ状態や能率の低下した部下を持つ管理職を心の病を早期発見できるように支持している。
〇富士通の沼津工場では、パソコンの診断できるストレス診断(労働者の職業性ストレス簡易調査票を使用)で、結果は健康管理センターが管理し、産業医が要注意の職場を抽出し面接を行っている。
〇損保ジャパンは、規則緩和によって扱う商品数が増えて競争が激しくなり、社員のストレス増加が予想されるため、これまで社員の自由意志に任されていたカウンセリングの活用やストレスセミナーに加えて、通常の健康診断同様にメンタルヘルス(心の健康)診断受診を義務化する制度を導入した(日経新聞H15年7月15日付)
〇ファイザー製薬は相談窓口に人事スタッフを配置して苦情処理相談を含む中から「ストレスを早期発見」して職場改善につなげる方法を採用している。通常メンタルヘルスは健康管理部門が中心であるが、より早い段階のアプローチのために、人事担当部署に窓口を置くようにした。(生産性新聞 H15年8月25日付)
厚生労働省ではメンタルヘルス指針に関する4の指針、①セルフケア②管理職によるケア③社内専門家によるケア④社外専門家によるケアを出し、各企業のメンタルヘルス推進を促しています。
健康問題は社会的な問題となっています。このことによる企業の損失は多く、それに付帯するコストの増大は、企業・組織にとっていまや深刻な問題になっています。働く人一人ひとりが、心身ともに健康であり、その人が本来持っている能力や可能性が十分に発揮されることは不変のテーマであり、それはまた自分自身や家族が、豊かで幸福な質の高い生活を送ることにも密接につながっています。
 メンタルヘルス、ストレス対策の現状は、その多くは事後対処である。治療やカウンセリングに力点がおかれ、身体の健康である定期健康診断やドック、生活習慣病(成人病)検診を受けるなどして、自分自身の健康レベルをチェックし、その結果に基づいて健康保持・増進のためのアドバイスがなされることはありません。ストレス・メンタルヘルスでも身体と同様に定期的測定、診断による早期発見、早期対応が重要です。 
のストレス社会には重要な役割を果たすものと期待されている。

ヒアリング各社のメンタルヘルス体制=実施内容(実態調査)メンタル教育研修:組合外秘密厳守   ○=実施

新入社員 管理職(新任含む) 中間層 一般層 定年前
1 C社(精密機械) 50000人 ○ ○ ○
2 F社(化学メーカー) 10000人 ○ ○
3 N社(精密機械) 10000人 ○
4 A社(金融・外資) 1000人
5 J社(製鐵) 30000人 ○ ○
6 Ch社(流通) 10000人 ○
7 CP社(IT関連) 4300人 ○
8 B社(IT関連) 1300人 ○
9 BT社(IT関連) 360人
10 H社(建設) 1000人
11 K社(建設機械) 3000人 ○
12 Z社(化学メーカー) 5000人 ○
13 SI社(精密機械・器具メーカー) 370人

各社のメンタルヘルス体制(文献調査)

富士通メンタルヘルスサービス室 12000人 精神科医(非常勤)カウンセラー(常勤5名、非常勤4名)
JR東日本中央保健管理所精神衛生科 医師2名、保健師1名、臨床心理士1名(非常勤)
セイコーエプソン「心の相談室」 産業医、看護師、外部専門家(非常勤精神科医、臨床心理士等週1~2回)
HOYAグループ 15500人 アウトソーシング(産業医1名、保健師5名、産業カウンセラー4名等)
アイシン精機
松下電器産業・高槻地区 4000人 産業医2名、非常勤医1名、看護師6名、非常勤看護師2名、ヘルスケアトレナー(兼)事務職員1名等
日本IBM
横浜銀行 6200人 産業医2名、非常勤医4名、保健師2名、看護師2名等々
新日本君津製鐵所 5800(正社員3800人) 産業医2名、保健師3名、嘱託精神科医
エッソ石油 1030人 産業医1名、保健師1名、看護師1名、管理栄養士1名等
ソニー厚木テクノロジーセンター 6000人 メンタルヘルスはヘルスケア・グループが担当産業医1名、臨床心理士1名、看護師2名
日本ビクター 8200人
三菱重工 43000人 非常勤精神科医10名、6名臨床心理士(常勤4、非常勤2名)
マツダ 産業医3名、保健師22名、看護師5名他
松下電器産業・高槻地区 4000人 産業医2名、非常勤医1名、看護師6名、非常勤看護師2名、ヘルスケアトレナー(兼)事務職員1名等
日本IBM
横浜銀行 6200人 産業医2名、非常勤医4名、保健師2名、看護師2名等々
新日本君津製鐵所 5800(正社員3800人) 産業医2名、保健師3名、嘱託精神科医
エッソ石油 1030人 産業医1名、保健師1名、看護師1名、管理栄養士1名等
ソニー厚木テクノロジーセンター 6000人 メンタルヘルスはヘルスケア・グループが担当産業医1名、臨床心理士1名、看護師2名
日本ビクター 8200人
三菱重工 43000人 非常勤精神科医10名、6名臨床心理士(常勤4、非常勤2名)
マツダ 産業医3名、保健師22名、看護師5名他
トヨタ自動車九州 1950人 産業医1名、保健師2名、看護師3名他
東陶機器(TOTO) 11000人 産業医2名、保健師12名、看護師3名他

ヒアリング各社のメンタルヘルス体制=実施内容(実態調査)メンタル教育研修:組合外秘密厳守   ○=実施

新入社員 管理職(新任含む) 中間層 一般層 定年前
1 C社(精密機械) 50000人 ○ ○ ○
2 F社(化学メーカー) 10000人 ○ ○
3 N社(精密機械) 10000人 ○
4 A社(金融・外資) 1000人
5 J社(製鐵) 30000人 ○ ○
6 Ch社(流通) 10000人 ○
7 CP社(IT関連) 4300人 ○
8 B社(IT関連) 1300人 ○
9 BT社(IT関連) 360人
10 H社(建設) 1000人
11 K社(建設機械) 3000人 ○
12 Z社(化学メーカー) 5000人 ○
13 SI社(精密機械・器具メーカー) 370人

ヒアリング各社のメンタルヘルス体制=メンタルヘルスアセスメント実施状況調査:組合外秘密厳守

アセスメントの使用モデル アセスメントの使用ツール メンタルへルスアクションの効果測定
1 C社(精密機械) 50000人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ
2 F社(化学メーカー) 10000人
3 N社(精密機械) 10000人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ
4 A社(金融・外資) 1000人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ
5 J社(製鐵) 30000人
6 Ch社(流通) 10000人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ
7 CP社(IT関連) 4300人
8 B社(IT関連) 1300人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ
9 BT社(IT関連) 360人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ
10 H社(建設) 1000人
11 K社(建設機械) 3000人
12 Z社(化学メーカー) 5000人
13 SI社(精密機械・器具メーカー) 370人 適応成長モデル THQ アクションリサーチ

ヒアリング各社のメンタルヘルス体制=実施内容(実態調査)組合外秘密厳守

1 C社(精密機械) 50000人 各事業所産業医、保健師配置、非常勤精神科医、非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
2 F社(化学メーカー) 10000人 各事業所産業医、保健師配置、非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
3 N社(精密機械) 10000人 各事業所産業医、保健師配置、非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
4 A社(金融・外資) 1000人 メンタルヘルスコンサルテング・非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
5 J社(製鐵) 30000人 各事業所産業医、保健師配置、非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
6 Ch社(流通) 10000人 各事業所産業医、保健師配置、非常勤精神科医配置
7 CP社(IT関連) 4300人 アウトソーシング各事業所嘱託産業医、非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
8 B社(IT関連) 1300人 アウトソーシング各事業所嘱託産業医、非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
9 BT社(IT関連) 360人 アウトソーシング各事業所嘱託産業医、外部相談非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
10 H社(建設) 1000人 アウトソーシング各事業所嘱託産業医、外部相談非常勤カウンセラー(臨床心理士、産業カウンセラー)配置
11 K社(建設機械) 3000人 各事業所産業医、保健師配置、
12 Z社(化学メーカー) 5000人 各事業所産業医、保健師配置、非常勤精神科医、非常勤カウンセラー(臨床心理士)配置
13 SI社(精密機械・器具メーカー) 370人 所嘱託産業医、非常勤看護師(ヘルスカウンセラー)配置