2011年2月21日

●事例:復帰困難部下を復帰させた自転車上司
化学薬品メーカーの研究員の脇田さんが、うつ病になりました。深夜まで残業をして没頭した新製品開発でしたが、結果は無残な失敗に終わりました。脇田さんにとっては特別の研究テーマでした。ご自身のライフワークと関わりの深いテーマだったのでなんとか成就させたいと思ったのですが実らなかったのです。
その後、脇田さんは会社に出て来られなくなったばかりか、「この世にはいられない」「会社や上司に迷惑をかけた」と嘆き、主治医も驚くほど重症のうつになりました。会社も辞めるということでした。アパートはもぬけの殻のようになりました。医師とカウンセラーも、うつ病が重篤なので研究所に戻るのは難しい状態であると判断するほどの落ち込みでした。
しかし上司は主治医の許可を受けて、毎週日曜日に根気強くサイクリングに誘いました。数カ月後には、二人でサイクリングロードを快走する姿がみられました。そして無事、復帰を果たしたのです。

●解説
良い悪いは別にして、上司の情熱が脇田さんを職場復帰させる原動力の一つとなったことは間違いありません。メンタル不全では、診断が出た後も、予見的判断をしないで(烙印(スティグマ)を押さない)、可能な限り改善に努力しましよう。ポイントは、人材を守ること、愛情のある対応をすること、そして長期的に見守ることです。それを理解したうえで、以下を守ってください。
①主治医の指導はもちろん、カウンセラーや本人、家族の同意のもとに行うこと
②部下と上司の信頼関係が基本です。脇田さんと上司も同じ開発の戦友という絆でむすばれていました。そうした信頼のない、逆にストレッサーになっているような上司が病院まで来るのは本人にとっては考えられないことであり、絶対に避けるべきです
③うつ病は先述したように3段階で回復していきますので、いよいよ職場復帰という段階では、上司のサポートが良き力となります。