『心の健康、不健康』で述べたように、部下のメンタルヘルス上のような状態が発生し、それが実際の障害となった場合は、的確な管理上の対応が求められる。
そのためには管理職が基本的なメンタルヘルスの知識を身につけ、円滑な問題解決のための役割が期待される。そこで以下の3つの調査から、管理職の役割を考察してみよう。
図2-1は、東海大学の生田目教授が「自分が危機に陥った時、誰に相談するか」について調査研究した結果である。
メンタルヘルスの問題は、プライベートな内容なので、身近な身内から相談することが多いようである。
1983年12月に東京メンタルヘルス研究会が「職場で悩んでいる人に気づくのは誰か」という調査研究を行なった。それによると表2-2のように、同僚上司が一番気付く率が高かった。
図2-3は、精神障害が発見される場面についての調査である。職場で発見されることが極めて多いことがわかる。
以上のことから、単に、医師・保健婦・カウンセラー等専門家による相談を中心にしたメンタルヘルス活動も大事であるが、多くのアンケートの結果は、専門家に相談をする人は少なく、身近で信頼できる人に相談している状況にある。
専門家を配置しただけではメンタルヘルス導入とは言えない。
また、悩んでいる人に気づくのは同僚、上司が多く、さらに精神障害の発見される場面も職場が70%と多くなっている。