発達心理学 (deveIopmental psychoIogy) とは何か
身体の成長は見ればわかるが、心の成長は見てもわからない。現在、産業の領域では「大人の発達障害」が多くの話題となっている。しかし、その本質を把握して、表面的な問題点のみがクローズアップされているように推察される。長い間、子どもは大人のミニチュア版と考えられていた。しかし子どもは、心も身体も子どもである。児童という概念が確立するのは19世末で、西洋の中世の絵には八頭身で大人と同じ服装をした子どもが描かれている。当時の子ども観は「子どもは小型の大人」だったのである。一方、子どもの肉体の成長は目に見えるし、抱き上げてみるとずっしりと体重が増えているので、いわゆる成長を実際に体感することができる。だが子どもの心がどのくらい成長しているかはなかなかわからない。「心」がどのように発達し、どのように変化していくかという法則を学ぶのが「発達心理学」である。