皆さんこんにちは。「改訂:臨床心理学とストレス科学」の執筆をしています。その中の第7章の出だしを紹介します。
現代におけるストレスの基本概念は科学的にみて、大きく2つにまとめることができます。第1は「慢性的なストレスは健康を害す」ということ。過去40年間に発表されたストレス関連の研究論文では、高度の慢性的ストレスが多種多様な病気を引き起こすことを指摘しています。すなわち、ストレスが慢性的になるほど、病気が重くなるわけです。
ストレスが人びとの健康に与える影響をカナダストレス研究所のアール博士の論文に従い、5段階に分けてみると、科学的に次のようになることが明らかになっています。
1. 疲労を感じる頻度が増え、その期間が長引くようになる
2. 親密で安定した社会・人間関係から遠ざかろうとする
3. 悲観的な考えになる頻度が増える
4. 筋骨格の苦痛(頭痛も含む)を感じる頻度が増える
5. 病気の症状(風邪やインフルエンザ、敗血性咽頭炎、腫瘍、高血圧症など)が次第に重くなり、その頻度が増える
以上です。
2つ目の概念は「慢性化した仕事のストレスに仕事の満足感が得られない状態が加わると、廃疾(回復不能な病気や障害)の状態に陥る」ということです。
リチャード・アール博士論文や講演記録より。