抑うつ状態 (Depressivestate)
通常、うつ病は誘因がないのに対し、抑うつ状態は、この誘因(きっかけとなる出来事)が比較的明確に見られ、感情面では憂鬱、悲哀、思考面では制止、その他は無関心、自殺念慮、身体面では倦怠感や不調感を呈する状態である。ライフイベントのかかわりは不安や挫折のみではなく、新築、結婚、昇格等の嬉しい出来事も関係している。病状は不眠、早朝覚醒、集中困難、記憶力、根気力、決断力の低下などが見られる。他に下痢や便秘をする、性欲がない、生理不順等、午前中気分や体調が悪く午後にはやや改善するなどがある。「有病率」は、どの程度を抑うつ状態とするかという診断範囲にもよるが、通常3~5%で多い。男女差はない。うつ状態には、性格因としてテレンバッハのメランコリー親和型がある。完全癖、秩序維持志向、人間関係の気遣い疲れがストレスとなる。発症の環境因子としては、これらの生活習慣の秩序維持への変化であるところの失恋、不合格、引越し、家族の死、解雇、リストラ、人事異動、昇進、降格あるいは高年齢による喪失体験の他に、風邪、大量飲酒等も誘因となる。このような生活上の変化に対する認知が過敏だったり、仮面のように身体症状が前面に出ている場合もある。特に腸は脳の代理店といわれるほど、脳の感覚的な影響を受ける。ストレスが加わると、腸内の善玉歯が減少し、悪玉菌が増加し、下痢や便秘を繰り返したり、過敏性腸症候群となり、そのことが結果的に登校拒否や出社拒否を引き起こす。現代社会では抑うつ状態は非常に多く「心の風邪」といわれ早期発見・早期治療を旗印に、各企業などでは受診奨励のキャンペーンが受診率の増加につながっている。うつ病は病気休職を伴うため、企業の財務リスクに結びつく。1~2年に1回から数回の躁うつを繰り返す。各状態の持続は2~3週間である。ケアのポイントは基本的人権に配慮し、家族をはじめ周囲の人々へのうつ病への理解活動をする。励ましは自責の念を高めることがあるので、本人には、休業が第一であることを理解させる。