総合心理教育研究所

佐藤隆の特別講座

SPECIAL COURSE

双極性障害

双極性障害
双極性障害とは、躁と抑うつ状態を繰り返すものをいう。「気分の高揚による活動性の興奮や爽快感、逆に低下により憂鬱や悲哀感という感情及び気分の動揺を中心とする躁状態と抑うつ状態の両方が、一定間隔を置いて交互に循環的に表れる疾患」である。その経過は周期的で荒廃状態に至ることはないが、症状は軽いうつから重篤の精神病範囲まである。躁状態では気分の高揚、開放的、怒りっぽい、疲れない、多弁、多動、浪費等が特徴である。うつ状態では思考障害である悲哀感の固執や気分変調(自律神経系)、意識の爽快、不快という情動の不安定、感情鈍磨(感情が低下し無関心な状態)、不安(対象のない恐怖)、危機感(イライラの他に緊張、頭痛等の身体症状を伴う)、アンビバレンツ(相反する感情の存在)などが見られる。身体症状として不眠、頭痛、頭重、動悸、食欲減退、倦怠等があり、心の状態は罪業妄想、貧困妄想、心気妄想等をもつことがある。症状により双極性Ⅰ型障害、双極性Ⅱ型障害、気分循環性障害以下の3つの病名に分けられる。前述の双極性障害の躁病 (Manic Episode) は爽快で、多弁、多動、放漫、無礼過大過信、誇大的な状態である。消費も激しく、不眠や観念奔逸(話がわきでて考えがまとまらない)、誇大妄想、行為心迫(思いついたことを即座に行動に移す)、がみられ、全体としてエネルギッシュな状態等を示す。混合状態とはうつ状態と躁状態の混合状態で躁とうつの移行期にみられる。原因は不明。(遺伝的な要因も否定できないこの病気は薬の服用などで、かなり改善され、後の経過も良い。心理的因子(きっかけ)によらずうつ病が発症することはヒポクラテスの時代から知られ、遺伝の影響も考えられる。躁うつ病の病因に関する現在の仮説では、感情障害の素因をもつ人に、心理的・身体的ストレスが加わり、脳内の神経伝達機構(カテコールアミン系やセロトニン系等)になんらかの機能異常が生じ、その結果、自律神経の機能異常などによる身体症状が発現すると考えられている。尚、下田光造は、躁うつ病患者の特徴である執着気質の特徴として「几帳面、まじめ、仕事熱心、他人の評価を気にする、完璧主義」を提唱し、テレンバッハ(Tellenbach, H.) も下田と同様にうつ病の性格素因特性として「メランコリー親和型」を提唱している。
対処:抗精神病薬は、精神病の幻覚、妄想、せん妄、興奮などとの治療に使用する。双極性障害、強い不安医用いることがある。気分安定薬は、双極性障害の総状態、うつ状態の両方に効果がある。

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