ワトソンの環境優位説:「氏よりも育ち」と考えた?
ワトソン( Watson, J. B., 1924 ) は環境からの働きかけを重視した環境、学習重視説を主張し、心理学の対象を目に見える行動として、行動学を提唱した。言葉を換えれば、発達心理学の基本は「環境から刺激に対する子どもの反応と条件づけが発達の要因」と考えたことである。学習により、極端には「どんな人間」にでも教育できるという、つまり「氏よりも育ち」 という環境優位説・行動理論説を主張した。(アヴェロンの狼に育てられた子どもの例)その他、ハル (Hull, G. 1884 ~1952 ) 、スキナー ( Skinner, B. F. 1904~1990 )、バンデューラ (Bandura, A. 1925~ )、ジアーズ( Sears, R. 1908~ )等が理論を発展させた。これらの理論には、学習理論と精神分析を折衷し、社会的環境との関係から、社会充足が行動の誘因となり、そのような行動によって発達が進行するという考え方などがある。また、インドの森で発見された野生児は、その後の教育によっても2足歩行や充分な言語の獲得はできなかったことから、生育過程における環境の影響の大きさについて論を展開させた。つまり、人間が人間として発達するためには、幼児期の経験がその後の成長の基盤となると考えた。