総合心理教育研究所

佐藤隆の特別講座

SPECIAL COURSE

アルコール依存

アルコール依存
DSM-5ではアルコールや薬物、ギャンブル依存、ネットゲームに対する依存なども「物質関連障害および嗜癖性傷害群に分類された。依存とは、アルコールや薬物なしではいられない渇望(精神依存)状態から、より依存する状態(身体依存)や、それを断じることによる離脱 (禁断)症状が発生する状態である。離脱(禁断)症状には振戦せん妄がある。せん妄とは意識の混濁で手足のふるえ、不快感、不眠、不安、錯覚、けいれんをいう。他に幻聴、幻視、幻触やコルサコフ症候群による健忘症状がある。健忘とはある期間の記憶の減退をいう。その他、見当識障害、不機嫌がある。ジョンズホプキンス大学のアルコール診断などのように、飲酒による欠勤、家庭や仕事で責任を果たせない、酒がやめられないといったことがあれば、アルコール依存症の範囲に入る可能性がある。依存症の原因は、もちろん個人差があるが、基本的には慢性的大量飲酒である。日本酒にして一日に5合以上を10年間続けると発病すると言われている。節酒による断酒は成功しない場合が多く、本人の意志による。脱症候群の治療、精神療法 、家族療法があるが、自助グループとして特に断酒会や1935年に創設されたAA( alcoholics anonymous )がアルコール依存症者に効果をあげている。アルコール依存症の特徴は「依存の否認」であり、別名「否認の病気」といわれている。何よりも治療への自発性が難しく、問題を後始末してしまう家族などのイネイブラー(enabler)の存在が問題を潜在化させてしまうことがあるといわれている。心理的支援・心理教育も身体的治療と並行して支援する必要がある。

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