老人福祉の専門家である吉澤氏と会食した。
最近、増加しているのは“定年退職後の恵まれ過ぎた老夫婦夫のモメゴト”と“不毛老人”であるとのこと。
豊作老人ならず不毛老人の増加は、厚生省の人口動態統計局のデータによると、昭和25年当時よりも数倍に達している。それも、結婚歴25年以上のベテラン夫婦に多いのである。
なぜ、長い間、うまくいってきた老人夫婦に急に問題が発生するかというと、次の理由による。
- 子は“かすがい”のかすがいが取れてしまった状態になってしまうこと
- 近代化、欧米思想により「自分を大切にする」風潮が高まり、「世間体」や「人生の失敗」を恥としなくてもよくなった。
- 子ども達の独立とともに、夫婦のみが残され、二人の結びつきが強化されエンプテイ・ネスト(空っぽの巣)と称される第二の新婚期に向かうため。
ライフワークは“豊作老人”を作る
二宮金次郎的実直亭主が、定年後二人だけの生活に入ると、ある日突然「オレはブスと結婚してしまった」とか「もっといい嫁をもらっておけば良かった」とか「もう少しお前の頭がよかったら」等々言って奥さんを困らすのである・・・という。
専門家によれば、かような“もめごとゴタゴタグチグチ老人”はその人の人生を逆のぼってみると、必ずや幼年期、青年期に女性を困らせたり、家庭を返り見なかったりする人に多い…とのこと。
これより、“ローゴ(老後)は一日にして成らず”の格言が生まれる。
“家庭”をかえりみない男性や「プレイボー」や「いけめん」と称している諸君は、老後にきわめて辛いツケが回って来ることになるのだろうか。これに対して、“豊作老人”とは
- 仕事への情熱を持っている人
- 豊かな趣味を持っている人
- 奉仕活動による人助けをしている人
の男命を三節の道にかけている人々にほかならない。
だが、残念ながら、現在、日々、勤労に汗している人に「ご趣味は」と聞くと「無趣味」と返答する人が少なくない。
総理府老人対策室の調査でも、老人に多い趣味は園芸、庭いじり、散歩、ラジオ、テレビ等であった。
老人の最適な趣味の7つの条件は次のとおりである。
- 体力に応じ
- 頭を使い
- お金がかからなく
- 近所でできて
- 自分が参加でき
- しかも多くの仲間と楽しみ
- 結果が形となってでてくるようなもの
がいい。
まさしく、“ローゴは一日してならず”の如く「すこやかにいきる」に積極的に徹し、一日一日を大事にし「小さな徳をつみ」に汗することは豊作老後、実り多き人生のための最良の手段であろう。