とつぜんこういうことを申し上げるのも、読者の皆様方に失礼と私は思うのです。
かつて、ある新聞で”カラオケマイク中毒”防止方法について真摯なる記事を発しさせていただきました。
私は、”マイク中毒”の診断基準を
① 他人の評価を聞かない
② 自覚症状がない
③ いびつな歌唱力を正常と確信している
の三点においているわけです。
その有効なただひとつの判断方法をコンピューター付カラオケ採点機においたわけです。
このコンピューター付採点機によって、すべてのマイク中毒が、健康で健やかなバロック調ロココ音楽の道に進むものと心静かに信じていたのです。
だが、期待というものはすべて裏切られるもので、三五歳以上の男子の三人に二人はマイク中毒のリスクがないとはいえません。
その後、研究の結果、このマイク中毒のプロセス、症状というものを見逃していたことに気づいたのです。
つまりこの傾向をいかに早期発見し早期治療するかがポイントだったのであります。
ウヤウヤしくウロタエつつも、ここに私の汗と努力の研究成果を、全日本カラオケ学会に発表したいのであります。
<カラオケマイク中毒の初期症状>
歌って下さいと声をかけられた時、「イヤ、歌なんてとてもとても」といいつつ、しっかりマイクをにぎっている人。屈折した人生経験を持ち、いつか人前で歌うことによって世の人を見かえしてやろうと思っている人。このような傾向があればマイク中毒の予備軍の懸念があります。
第一期症状
マイクをにぎっただけで手の小指が立ってくる。
第二期症状
左手の人差し指に、無意識のうちにコードがくるくるとからみつく。
第三期症状
「ヤマちゃん、歌うな」と叫ぶフロアの声が「ウン。いいと思うよヤマちゃん。その線でいいと思うよ、それもう一曲いこうよ、それいけ」などというぐあいに屈折して本人には聞こえてくる。
――と、まあこのへんのことはもうどうでもよいわけであります。
ここまですすむと手のほどこしようがなく、ただただフロアのヒトビトはじっと耐えるわけです。
しかし、しかし、しかし世の中というものは不思議なものであり、こういう人ほど早朝の「さわやか運動」などというものに参加し「ムリワカテニス症候群」などを併発させます。
テニスシューズも、ラケットも、カバンなども「ブランド」しか持たないのである。
ウン、結局、筆者は何を言いたいのか。つまりこのような文を書いて、それでいいと思っているのだろうか。
保養、滋養、温泉、自重自戒。
ボク、最近、歌っていないのだ。
オワリ。