「田舎暮らし」「丸太小屋」「温泉三昧生活」といった雑誌を立読みし、
突如、ムムムムムノム!「そうだこれだ!そうだこれだ!そうだこれだ!」と三回も腹の中で叫びつつ、
勢い余って、そばで立ち読みしていた隣人青年の肩もついでに
「お前も感動しろ」という気で思わずポンと親しみをこめてたたいてしまった。
その中で気に入ったのが「丸太小屋」である。
「意外とデタラメに造るのがコツ」というゴシック体の見出しが
いたく自分の几帳面で内向的性格にピッタシした気がしたのだ。
帆船模型3万8千円のカティサーク75分の1などにも挑戦した事があったが
あのゴチャゴチャの糸を見てギブアップ。
次にラジコン飛行機造りなどをマイホビーなどと思いつつ
人の頭の上にでも急降下したらどうするんだと不安になり中止。
その点、この丸太小屋造りのメインである丸太の組み合わせと言うものは案外難しいようで
難しくなくでたらめでいいんだと思ったらうれしくなった。
うん、そうそう、職場や組織の人間ときわめて酷似していて
きちんと寸法にあわせ完璧に四角四面の眉シワシワ人間ふうに作っちゃうとダメなんだ。
と言うのは相手はwood (木)なのだから自然の環境条件(温度・湿度など)によって極めて変化するからなのだ。
この点、一見でたらめ的に、「いや、いや、こんでいいんだ。まあ、こんなもんやな」と
矢切りの渡しかなんかの演歌を鼻歌交じり歌いながら造ったりすると
丸太の重みや温度や湿度がジワジワと働き、いつの間にか全体的にしっくりといってしまうのだ。
そうだ職場の人間関係と同じだ、うんと勝手に一人でうなづき夜空の星を見上げて
「ふっふっふっ」と快感のニヤリ笑いを発しつつ、コーラをグビッと流し込んだりする。
「ゆとり」というか「遊び」というのか、自然の中では大事なのだなあと思ったりしている。
丸太小屋を造る場所は年中使えるところがいいぞ。
そうなると場所は、多分、伊豆高原もしくは御殿場かあるいは富士山ろくの“忠ちゃん牧場”の近辺がいい。
具体的にはマザーグースの小屋のようにピンクのカーテンをつけるか
またはアメリカ映画「大草原の小さな家」風にテーブルにタータンチェックのクロスをかけたりするといい。
丸太小屋の材料は、廃棄になった電信柱かあるいはシベリア産のカラマツ(柱にはつかえない)を使う。
理由は安いから。
もっと発想を変えて鉄製丸太なんてあってもいいのではないか。
外からみると木製に見えて軽量でスパスパ組み立てられるのもがあってもいいなあ。
一つの小屋に使う丸太は約300本である。
だから。300人が「そりゃいい考えだ。ンダバ、皆で造るベサァ」といって
丸太一本づつ持ち寄って、一坪づつの土地を買うと、三百坪の高原の中にドリーミーなハウスが出来てしまうんだ。
どうだろう、「一緒にやってみる人、この指トオオオオマレッ!」といった夢だった。