私は売れているという基準で本を選ばない。この本は本屋の店頭に山積みになっていたのでつい買ってみた。もうひとつ「本屋大賞」という「本」も買ってみて悪くないかな・・と思った。「海賊とよばれた男」百田尚樹作であった。青い空のかなたに引き込まれるように読んだ。下巻も手にした。
戦前から戦後にかけて日本を思い、日本のために働いた男たちのペーソスに目頭が何度も熱くなった。
こんな風に生きぬいた男がいた。あつ、あの昔の新聞を飾ったニュースはこの男だったのか。日本最大の「巨大タンカー」の背景にはこんな死をかけた男たちのいきざまがあったのあ。。雪深い北国の人々の寒さを救ったのは「アポロ」なんだということを知らされた。小説ではなく、私にとっは生きざまのドキュメンタリーだった。われわの心に脈々とながれる「精神的DEM」を「魂」を「勇気」を、映し出す本であった。今、新幹線の車中でこの原稿を書いているが、隣の老紳士もこの本を読んでいる。手が震え、目頭が潤んでいた。
城山三郎の「落日燃ゆ」と並ぶ、良い本であった。