呼吸法:呼吸法により自律神経を整える
私たちの心臓の動き、血液のながれ、胃腸の動きは自動的に行われています。この動きをコントロールしているのが自律神経系です。自律神経は、活動中は交感神経、休んでいるときは副交感神経が働きます。つまり交感神経は自動車で言えばアクセル、副交感神経はブレーキの役割を果たしています。この働きのバランスが崩れると自律神経失調状態となります。自律神経がコントロールしている体の働きは、基本的に、私たちの意思ではコントロールできません。しかし、呼吸を遅くしたり早くしたりすることにより、自律神経をある程度はコントロールすることができます。
ストレスが高くなると副交感神経が支配している睡眠中でも浅く速い胸式呼吸になります。うつ病の患者さんの多くは、布団に入っても、いろいろ考えて「眠れなかった」といいます(入眠困難)。一番リラックスするはずの入眠時間が、ストレスを感じる時間となり、不安と後悔、自罰の時間になってしまうのです。
筆者はこれを「心の汗」と呼んでいます。多くの人は心の汗を感じると、その原因追及をします。ここから「うつの悪循環のスパイラル」のワナに落ち込んでいきます。このワナにかからないためには、追及をやめて「心の汗」に気づき、老廃物は体と心の外に蒸発させることが本来必要なのです。そこで活躍するのが呼吸法です。腹式呼吸を基本にしながら、ここで紹介している深呼吸法やため息呼吸法などを適宜試してみてください。