晴天の日。しばらくぶりに山中湖までドライブに出かけた。
せっかくの日曜日だから、少しウトウトしていた。
なかなか布団の温もりの中から抜け出せず、出発したのはもう日も高くなっていた時間であった。
厚木を過ぎ、御殿場に差し掛かかるあたりから、周りの景色が美しくなってきた。
こんな事だったらもう少し早く出かけてくれば良かった。なんであの時、布団の中でグズグズしていたのだろうかと悔やまれるのである。
私たちの日常の仕事でもこの様な事は良くある。
「あの仕事をやらなくては」と頭の中で考えつつも、なかなか肝心の仕事には注意が向かず、やらなくてもいい雑務的な仕事に精を出している自分に気がつく事がある。
職場の仕事ぶりを見せていただいていると実に要領よくテキパキと仕事を進めている人と、能力は凄く優秀な持ち主だが、仕事が捗らないタイプの人がいることに気がついた。
この二つのタイプ違いは、いったい何に起因するのであろうか。
よく考えてみると、その違いは案外単純なところに見出されるのではないかと思う。
つまり、カール・ヒティの言葉の中に私は見出したのだ。
「まず、肝心な事は思い切って着手することである。仕事につく、精神をその事に向けるという事の決心が一番難しい。一度ペンや鍬を取って、最初の一字を書いてしまえばあるいは最初の一打ちをおろしてしまえば、すでに事柄は非常に易しくなっている(幸福論)」
どうやら仕事の出来る人のコツは、このようなところにあるものらしい。
ついつい「嫌な仕事」「面倒な仕事」「難しい思考を要する事」は無意識的に怠慢になってしまい、日常の多忙さの中で合理化してしまう。
我々は、まず始めなければならない・・・とはわかっていても、朝の布団の中のように「あと五分、あと五分」と自分を許してしまう。わかっていても“まず始めなければならない”ということに自分の精神を向ける決心がなかなかできないもののようだ。どんな文章を書くにもまず原稿用紙の最初の一字を書かなければならない。「難しい仕事でも、まずやり始めなけれは一歩も進まない」という本郷孝信氏の言葉が身にしみる。