精神疾患については早期発見・早期治療が大切である。精神症状態・適応困難についてもそれぞれ原因が異なるため、アプローチについては医学的・心理的知識の上に異なった対応をしなければならない。しかし、後者は社会環境の変化や組織制度との相互作用の中で発生する社会・心理的ストレスとの関連性も強い分野であり、対人関係をも含んだ社会心理的アプローチやカウンセリングが有効な解決となることが多いこれらの中でも現在では、メンタルヘルス上問題になっているのは、ごく普通の人でもさまざまなストレスや環境上の変化によって生じる適応障害である。
従ってメンタルヘルスを疾患管理の対策とのみ考えるのは誤りである。心身の健康をいかに確保し向上させるかが大きな対策のポイントになろう。
しかしながら「心の不健康」の分類については、この他に多くの説がある。そのひとつ代表的なものを類型化したものが心の不健康な状態○類型である。
環境のさまざまな要因が、個人の適応能力を越えたストレス要因となった場合に起きてくるものとして適応困難がある。
また、心の不健康な状態が主に身体症状として表出することがあり、心身症といわれる。さらに精神症状といわれるものがあり、これは原因から心因性、内因性、器質性に分類される。しかし多くの場合、心の不健康状態では環境や個人の持つ諸要因が複雑に絡み合って起きてくるため、全てが明確にこの類型に当てはまるとは限らない。これらは一応「心の不健康」を理解するための分類に過ぎず、その診断や判定については、より専門的知識によらなければならない。