日本トップの巨大企業。そこの付属病院の院長で医学博士
そしてタヌキおやじとひそかに陰口をたたかれている佐藤院長。健太郎は、院長は立派な地位も名誉もある、しかも医師だ。なにもこの世に怖いものはないはずだ。なんでクソ爺の心配をあそこまでするのだろう。天丼でもうな丼でもどちらでもいいじゃないか。クソ爺一人の時間に取らずに外来の患者さんを診察したほうが良いのではないだろうか。牧村会長の経営者としての尊敬の念はそのままで、現実は「やはりくそ爺」だから。と健太郎には思えて不愉快であった。
整形外来では、いばってそっくり返っていることで有名な荻野先生などは米つきバッタ状態である。
ペコペコペコ・・・・・・としている。
健太郎は臨床心理学では決して学べない「職場大学院」への入学だと思った。
フロイトもユングも、アドラーの本では決して学べない。
職位や資格や相手の弱い立場を利用にて、えばる人ほど「内心は権威に弱いんだ」。
佐藤院長も同じ部類の人なのかなあああ。
企業は組織と無縁では生きられないんだ。
上に行けばさらにその上がいる。上とも下とも隣ともうまく付き合っていかねばならないのか・・・と考えるだけで健太郎の心労は増した。闇に蠢く黒塗りの高級車。健太郎は思った。タヌキおやじに「臨床心理室は床の間のシミ」と呼ばれた。それなら「立派なシミ」になってやろうと思った。業務終了後猛烈に勉強した。病院の図書室は慧水大学医学部同様に書籍が整えられていた。
タヌキおやじが医学部と同じようにといって整備充実させたらしい。
あのタヌキおやじもやるね・・・と健太郎は微笑んだ。
夜9時から10時過ぎまで、図書室で勉強した。
ある日、帰宅途中に人気のいない病院の玄関に黒塗りの高級車が止まっている。
なにかすごい物々しい気配がただよう。
おつきの白手袋の運転手がそっとドアを開けた。
中から出てきた。
健太郎は思わず「あつ」と叫んだ。
続く。
この小説に出てくる人物や団体はすべて存在しないフィックションです。