正常と異常の概念 (おかしい、ふつうって何が基準)
私たちは自分たちが受け入れられないものは「おかしい」と考えてしまう傾向がある。「おかしい」と「おかしくない」について考えてみよう。言葉を変えると「心の健康とは何か」あるいは「異常とは何か」を明確にすることは簡単ではない。WHO (World Health Organization)では「Well-being」としている。また、1930年の第1回世界精神衛生連合の合意では、健康の定義として、次の4つにまとめられている。
① 身体、知性、情緒等が調和していること。
② 良く環境に適応し、他の人々と調和していること。
③ 自己に対する幸福感を持っていること 。
④ 仕事や職業に、自己の能力が発揮され、効率的生活をしていること。
このような健康や病気の概念と、正常・異常の概念は必ずしも同一とは限らない。正常とは規準(規範)に合うもの。平均規準と価値規準とがある。前者は非平均的、非通例的なもの、後者はその社会において認められているもの。知能指数のように数量化できるものでは、非平均からみると低いものも高いものも異常となり、数量化できない。人格などは平均的な人格をイメージして考えるということになる。このように正常と異常は「平均規準」による場合は、数量的に平均身長や平均体重、あるいは血液検査の生理学指標のように「正常」値があり、それから大きく離れている場合は異常ということになる。