総合心理教育研究所

佐藤隆の特別講座

SPECIAL COURSE

離人・現実感喪失症候群

離人・現実感喪失症候群
もともとはヒステリーと呼ばれていた。ヒステリーとは心理的な原因で ①身体機能障害がおきる(視野狭窄、歩けない、水を飲めない、嘔吐など) ②精神障害がおきる(失神、記憶障害など)。自分自身の存在の喪失で、人々との現実的接触感がなくなり、疎外されているような感じになる障害である。ヒステリーはギリシャ語の子宮のヒステリア( hysteria) で、ヒポクラテスが子宮に関係している女性の病気と考えたが、 1870年代に、シャルコーのヒステリーの催眠治療やフロイトの精神分析から、心因性疾患として概念化された。ヒステリーのメカニズムは無意識下に抑圧された危険や不快な体験の圧力が増し、それが再び意識化されると耐えられないほどの危機的な状況に追い詰められた時、身体症状となったものをヒステリーという。心理的なものが原因で心身の障害や二重人格に至ることが多い。転換性障害とはフロイトの無意識の葛藤や願望が身体症状になったものをいい、心臓のドキドキ、ヒステリー性の頭痛、起立や歩行困難、見たりできない等がある。現在のDSM-5では解離性障害という。これはトラウマを防衛する心の働きで、葛藤が症状として表出したものと考えられる。ユングが考えたもう1人の私になる多重人格や記憶喪失等の障害がある。症状の判別によるが非常に多い。ヒステリーには神経や身体の問題が把握されない。ヒステリーの疾病の背景には利得があり、嫌な状況を避けられるという第一次利得と同情を得られる第二次利得がある。内因性の統合失調症や躁うつ病のような重病感はないが、簡単に改善しない場合も多い。子どものヒステリーは、強いストレスやどうしようもない状況に追い込まれたと思われる時に発症する。

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