知的障害 ( Mental Retardation)
知的障害とは後天的脳障害のために知能が普通に達していないこと。同年齢の子どもと比較して全般的な知的能力(知能指数70未満)に遅れがあり、社会生活への適応に問題がみられる状態が、18歳未満の発達期に現れるものをいう。アメリカ精神薄弱学会(AAMD)によれば、「先天性または生後の間もない時期に種々の原因によって発症する障害。精神発達遅滞の診断はウエックスラー、スタンフォードビネー等の2つの知能検査の結果、平均より2標準偏差低いもの、おおむね知能指数(IQ:)intelligennce quotient)70またはそれ以下をいう。知能検査では軽度IQ50~69、中度35~49、重度20~40、最重度19以下、境界線76~85である。ICD-10(表11)では中等度以下が福祉援助の対象である。しかし適応行動障害がなければ、すぐに精神遅滞といわず日常的観察、家族の意見、知的活動、運動能力、言語理解力、診察や発達検査の結果も勘案し、同年代と比較して総合的評価が必要である。認知症は一度獲得された知的能力が低下することであり、この点が精神遅滞との相違点となる。