アスペルガー症候群(Asperger’s Disorder)
自閉性障害のうち、明らかな知的発達の遅れをともなわないものを高機能自閉症といい、言葉の発達の遅れを伴わないものをアスペルガー(Asperger)症候群という。1944年にオーストラリアの小児科医アスペルガー(Asperger, H.)が自閉的精神病質(アスペルガー症候群)として報告した。症状は乳児期後期に発症し、7歳頃顕著になる。親を後追いしない、人と視線を合わせない、離れて行ってしまうなどがある。知的能力は高く、特定の数字や文字などに興味を示し、自閉症と異なり言語の発達障害(自閉症との判別で重要なポイント)はないが、上手に友人や他人との親密なコミュニケーションができないので孤立化する傾向がある。主張が通らないとパニックになる。DSMの診断基準ではコミュニケーション、認知、多動、協調運動障害などの広汎性発達障害の下位にはいる。DSM-5では、アスペルガー症候群の名称ではなく、自閉症スペクトラム障害に含まれている。自閉症の常同症(繰り返し)はない。男児に多く、出現率は300人に一人。また、アスペルガー症候群の6人に1人はADHDといわれている。医学的対応はなかなか難しく、本質を理解した対応が適応に有効で、社会福祉的対策が良いとされている。